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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(オ)207号 判決 1956年7月12日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

所論は、上告会社から被上告組合に対しなされた本件手形の譲渡については、上告会社は白地を補充せず且裏書をしていないのであるから、上告会社に裏書人としての責件はないと主張するのである。しかし原審は、本件手形については、さきに上告会社が白地式裏書により、これを訴外株式会社青和銀行に裏書譲渡し(第二裏書欄の裏書)、同銀行は、取立委任のため、これを訴外株式会社羽後銀行に裏書譲渡したが(第三裏書欄の裏書)、その後、上告会社は、青和銀行から右手形の返還を受け、羽後銀行に対する裏書(第三裏書欄の裏書)は抹消されたこと、および上告会社は、前記第二裏書欄における既存の白地式裏書をそのまま存置し、これを利用して手形上の権利を移転せしめる意思のもとに本件手形を被上告組合に交付したものであることおよび被上告組合が自己の名義を被裏書人として補充したことを認定しているのである。それ故、裏書人たる上告人が被裏書人たる被上告組合に対して裏書人としの手形上の義務を負担すべきは当然である。されば論旨は採ることを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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